取替時期の目安

2021.06.16 Wire Rope

ロープの取替時期が遅れますと、事故発生の危険が増大してきますので、その判定には慎重を期さなければなりません。
判定の目安となる断線数や磨耗による直径の減少率などについて、以下に示しますので、参考として下さい。

 

①断線

定められた長さに発生した断線数によって残存強度を推定し、取替時期を判断するのが最も簡単な方法です。
しかし、残存強度は断線の分布状態によっても異なりますので、判定の確実性を増すためには、国際規格ISO4309に示されている次の事項を考慮する必要があります。

(a)外層ストランドを構成している素線を対象とする。すなわち、内層ストランド中の素線は、基準とする総素線数には含めない。

(b)鋼心を有するロープでは、対象とする素線に鋼心中の素線は含めない。また多層ストランドロープ(ナフレックスロープ、ヘルクレスロープなど)では、外層ストランドの素線のみを対象とする。

(c)断線が局部的に集中して発生している場合や、1ストランドに集中して発生している場合は、断線本数が許容本数より少なくても廃棄する。

 

②磨耗

ロープは、磨耗によって外層素線が擦り減って、ロープ径は次第に細くなってきます。
この磨耗量によってロープの取替時期を判定するためには、使用状態、最初の安全率、内部素線の保持力などを考慮して、決定しなければならないことは断線の場合と同様ですが、ただ磨耗量は断線の場合よりも測定が困難です。

一般的には、ストランドの外層素線が最初の素線径の2/3まで磨耗したら廃棄すること、また断線と磨耗が同時にあるときは、断面積の損失が15%を超えたら廃棄することといわれています。
実際問題としては、ロープ径の減少から判断するのが一番早く、直径が使用初めのときの1割減少したら取替えられているようです。

ロープは、使用中に磨耗と断線とが同時に起こるのが普通ですから、要は残存強度がどれだけになったか、安全率がどれほど低下したかによって取替時期を定める必要があります。

 

③腐食及び使用期間

腐食したものは脆くなりますので、ロープの強度は意外に低下します。
相当長期使用したにもかかわらず、あまり断線もなく磨耗も少ない場合がありますが、このようなときは特に内部腐食について考慮する必要があります。

ロープが局部的にやせたり、ストランドのよりが緩んだときは、多くは内部が腐食しています。
この内部腐食は、シーブやドラムで絶えず繰返し曲げを受ける箇所に最も多く起こり、端末には現われませんので、両端から採った試験片で残存強度試験をしても意味がありません。

したがって、これらは使用年数に制限を設けて、安全を図るよりほかありません。特に人の乗るものに使用するロープでは、その使用条件に応じて、1年から5年くらい使ったら廃棄を検討する必要があります。

 

④形くずれとキンク

単なるロープの曲りぐせをキンクとすることがありますが、キンクとは上記4項のような過程を経て、局部的に極端な曲りとより乱れが発生したものをいいます。

ロープのうねりについては、国際規格ISO4309でうねりの許容限度についても述べてあり、下図に示すように、うねり幅d1がロープ径dの4/3以上になれば、ロープを廃棄するように定めています。

ロープのうねり

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