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ワイヤロープ解説

 TOP > 製品一覧 > ワイヤロープ解説 > ワイヤロープの取り扱い
 ロープの取扱いには十分な注意を払わなければなりません。間違った取扱い方をしますと、ロープが使用不能の状態になったり、また使用開始初期に断線や形くずれなどが生じて、廃棄を余儀なくされる事態を招くことがあります。
 ロープを完全な状態で使用するために、次の注意を守ってください。

Index
1.荷卸し及び運搬
2.保管
3.解き方
4.キンク・形くずれ
5.シージングの方法
6.より方向とドラムへの巻き方
7.フリートアングルなど
8.新しいロープを使用する場合の注意
9.玉掛索の取扱上の注意
10.ロープの点検
11.取替時期の目安
12.廃棄基準・使用限度の規格や基準等

1.荷降し及び運搬   目 次  次の項目  トップページへ

@巻枠(木枠又は鉄枠)やコイルを貨車やトラックなどから地面に落下させることは絶対に避け、必ず歩み板を転がして降ろすか、クレーンやホイストなどを使って降ろして下さい。
高い所から落下させますと、巻枠が破損したり、コイルが荷崩れしたりして解梱不能になり、甚だしい場合はロープが著しく損傷することがあります。
A巻枠を転がすときは、「てこ」は必ず巻枠の縁に当てて転がしますと、その部分がつぶれて早期廃棄の原因となります。
B石ころ、金属塊、鋼材などの上を転がさないで下さい。
凸凹の激しい床や地面上を転がしますと、ロープにつぶれが生じて早期廃棄の原因となります。

2.保管   目 次  次の項目  トップページへ

@ロープを長時間にわたって保管するときは、乾燥した倉庫内又は上屋などで風通しのよい場所に置いて下さい。ただし、直接日光の当たる所やボイラーの熱源の近くなどは避けて下さい。
高温雰囲気に長時間曝しますと、ロープグリースが乾燥して防錆力が落ちてきます。
Aロープはコンクリートの床や地面に直接置かず、必ず枕木などを敷いてその上にのせてください。
地面上に直接置きますと、湿気のためにさびたり、甚だしい場合は腐食したりします。
Bロープを止むを得ず屋外に保管するときは、地面から15cm〜30cm離れるように枕木などを敷き、更に雨覆いをかけ、また地面は常に清掃して草をはやさないようにして下さい。
これを怠りますと、湿気や雨水がロープの内部まで侵入して、腐食の原因となり、甚だしい場合は使用に耐えなくなります。なお、ロープの表面にロープグリースを十分塗布しておくことによって、ある程度腐食は防ぐことができます。
C使用後のロープを取外して保管するときは、表面に付着している泥・砂・砂利などと素線やストランドの間の残滓(古いグリースと塵埃の混ざったもの)をワイヤブラシ等できれいに取除いてから、ロープグリースを塗布sきてください。
残滓落とすとき、落としやすいからといって洗油を使いますと、洗油が繊維心に浸み込んだり、素線の間に残ったりして、かえって腐食を起こす原因になりますので、難燃性でかつさび止め効果を有する当社のロープ専用洗剤ダイリュータWを使用して下さい(火気注意)。もし、工業用ガソリン4〜5号や1,1,1−トリクロルエタンを使用する場合は、引火性や中毒性に特に注意して下さい(火気厳禁)。

3.解き方   目 次  次の項目  トップページへ

下図のようにコイルを転がして延ばすか、回転台に乗せて引き出してください。正しい解き方

もし、誤って下図のようにして解きますと、ロープはよりが入ったり戻ったりしてキンクが生じ、使用できなくなることがあります。誤った解き方


4.キンク・形くずれ   目 次  次の項目  トップページへ

キンクの発生過程
  ロープを解いているときや引延し中に、左の図(1)のような輪ができたら、作業を中止して、これを直してから作業を再開してください。
そのままにして作業をしますと、(2)、(3)、(4)のようなキンクとなり、それを直しても(5)のようになり、元通りにはなりません。
ロープにキンクが生じる原因は、このようにロープの解き方が悪い場合のほかに、次の場合がありますので十分注意してください。
@ロープがしごかれて、よりの長さ(ピッチ)が変化した場合。
Aロープを一旦地面上に環状に解いたのちドラムに巻き取るために、横引きした場合。
キンクはロープの形くずれの最悪状態で、ロープの致命傷です。一旦キンクが生じますとその損傷は永久的で、外観は直ったように見えてもそこが弱点になってロープは早く傷んできます。
キンクした部分とこれを直した部分とを引張試験した結果を下表に示します。 
形くずれの例
  キンクが生じたロープの強度低下率 
 ロープの状態 強度低下率
 キンクを直したロープ  約20%
 よりの入る方のキンクが生じたままのロープ  20~45%
 よりが戻る方のキンクが生じたままのロープ  35~60%
ヘルクレスロープ、ナフレックスロープ、タフナフレックスロープなどのように内層と外層とが反対方向によってあるロープを解く場合には、特に注意が必要です。
ロープによりが入れば、上左図のように下層ロープが飛出し、またよりが戻れば(2)のようにかご状になり、ストランドが浮き上がります。
したがって、よりが狂わないように取付作業時に注意して下さい。またロープ心入りやストランド心入りロープの取扱いも、上記に準じて注意してください。

5.シージングの方法   目 次  次の項目  トップページへ
ロープを必要な長さに切るときは、よりの緩みを防ぐために、切断個所の両側にシージングを施してから切って下さい。たとえ不反発性よりロープであっても、切口をたたきつけたりしますと、よりが緩んで、ロープの損傷の原因となりますから、下表によってシージングを施してください。
ロープ径とシージング
 ロープ径(mm) シージングワイヤ(mm)   シージングの長さ
 ~10   単線  0.6~1.2 ・シージングの長さは、ロープ径の2〜3倍を標準とする

・ロープ径と同じ長さを近接して、2〜3箇所としてもよい
 12~30   単線  1.0~2.0
 32~40  より線  2.0~3.0
 42~  より線  2.6~3.6

・ナフレックスロープ
・3~4ストランドロープ
・ピッチの長い特殊ロープ
非自転性ロープは、完全な不反発よりでない場合が多いのでシージングの長さを標準より長くする。
・ロックドコイルロープ
・コンセントリックロープ
8〜10箇所シージングを行う。
   シージングの方法
   なお、シージングは、手巻きではなく、左図に示すような道具(カクバシなど)を使って堅く巻くことが肝要です。

6.より方向とドラムの巻き方   目 次  次の項目  トップページへ

ロープは、張力がかかるとよりが戻る方向に自転する性質がありますから、溝なしドラム(平ドラム)に巻くときは、下図のようにしてください。
このようにして最初の1段目(地巻)を固く平均に巻きますと、これが基礎になって次の段からは正確に巻かれます。地巻を乱雑に巻きますと、その後は一方だけに重なったり食い込んだりして甚だしい摩擦を起こし、押しつぶされてロープの寿命を縮めることになります。溝なしドラムの場合は、1段目を地巻とし、これを溝の役目として2段目以上を使用するようにしますと乱巻になりにくく、ロープの劣化進行が遅くなります。 ドラムへの巻き方

地巻については、クレーン等構造規格では2巻以上と定められていますが、最小限3巻、できれば5巻以上が好ましく、鉱山などでは9巻を残すというところさえあります。
地巻が少な過ぎますと、摩擦力不足のため事故を起こすことがあります。
なお、地巻ロープの端末は確実な方法によって止めて下さい。

7.フリートアングルなど   目 次  次の項目  トップページへ
                                 フリートアングル
 フリートアングルとは、左図に示すように、溝なしドラムの回転軸にシーブから下ろした垂線と、シーブの中心とドラムのフランジの内側とを結ぶ線とのなす角をいい、この角度が1.5°以内(クレーン等各構造規格では、2°以内。)になるようにすれば、ロープは整列巻きとなります。この角度よりも大きくなりますと乱巻きとなり、またロープがドラム端に近づくとロープが乗り上がったり、またシーブの縁でロープが擦られたりします。
フリートアングルが1.5°又は2.0°の場合、もしドラムの中心線とシーブの中心線とが一直線上にあれば、ドラムとシーブの距離はドラムの幅のそれぞれ約20倍又は約15倍となり、中心からずれているときは、中心線からドラムの縁までの広い方の長さWLのそれぞれ約40倍又30倍となります。
溝付きドラムの場合については、クレーン等各構造規格では、下図に示すようにドラムにロープが巻込まれる方向とロープ溝とのなす角度θを4°以内にするよう定めています。

溝付きドラムへのロープの巻き角度


8.新しいロープを使用する場合の注意     目 次  次の項目  トップページへ

最初から正常運転するよりも、軽荷重・低速運転でロープをなじませてから正常運転に入る方が、ロープの寿命は長くなります。なお、使用前に実用荷重よりも少し重い荷重を数時間かけてロープの初期伸びを取れば、更に寿命を延ばすことができます。
ロープの使用にあたっては、次の過荷重運転、高速運転、衝撃や振動を避けるように注意してください。

@過荷重運転
 過荷重運転はロープを加速度的に劣化させます。能率を上げるためには、1回の吊荷重を大きくするよりも、回数を多くする方がロープの実作業量は多くなります。つり荷重を大きくする場合には、ロープを大径のものにするか、破断荷重の大きいロープを使用します。

A高速運転
 速度を上げますとロープとシーブとのあたりが変わったり、振動を起こしたりしてロープを傷めます。速度を上げる必要があるときは、各シーブの回転を軽快にし、できればゴムライニングを施して、ロープの跳ね上りや振動を少なくするようにします。

B衝撃及び振動
 急に始動したり速度を変えたりしますと、ロープに大きい衝撃がかかるとともに、ロープが振動してシーブやドラムをたたくばかりでなく、時にはロープの通過部周辺にある構造物などに触れることがあります。このような状態が繰り返されますと、ロープは疲労して遂には破断事故を起こします。特に、古いロープの場合は衝撃に対して弱くなっていますので、十分注意を要します。ロープの破断事故は衝撃が原因となっていることが最も多いようです。

9.玉掛索の取扱上の注意   目 次  次の項目  トップページへ

玉掛索はロープスリングとも呼ばれ、物をつり上げるときに用いられますが、物を固定するときに用いる台付索と異なって、加工するときの差し回数、差し方がクレーン等安全規則第219条に規定されています。
玉掛索と台付索とは混同されがちですが、明確に区別して取り扱って下さい。
なお、玉掛索に関する日本工業規格としてはJIS B 8817(ワイヤロープスリング)があります。
クレーンやホイストなどで、玉掛索を用いて重量物をつり上げるときは、次の点について特に注意して事故の発生防止に心掛けてください。

1.一般的注意事項
@玉掛索は、使用荷重、つり本数、つり角度及びつり方を考慮して、安全率(安全係数)が6以上確保出来るよう(クレーン等安全規則で決められている)選定してください。
安全率が不足していると、急激な衝撃荷重や損傷劣化などにより破断する恐れがあるます。
Aつり角度は、出来るだけ60°以内にして下さい。つり角度が大きくなると玉掛索に大きな張力がかかり危険です。
   2本つりの場合
つり角度(θ)   0° 30°  60° 
 1本のロープにかかる張力
(使用荷重に対する倍率)
0.5  0.52  0.58
Bフック部などで、ロープを小さく曲げると強度が低下します。大きく出来ない場合は、低下率を考慮して玉掛索を選定してください。
   6×24の場合
ロープ径に対する
曲げの大きさ(直径)
 1倍 5倍  15倍   20倍
強度低下率  50% 30% 25%  10% 
Cアイ加工には、圧縮止めと手編み(アイスプライス)があります。手編みの場合は、クレーン等安全規則第219条に規定された方法により、ロープ加工技能士の加工したものを使用してください。
第219条抜粋
「アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後それぞれのストランドの素線の半数を切り、残された素線をさらに2回以上(すべてのストランドを4回以上編み込んだ場合には1回以上)編み込むものとする。」
D台付索は、玉掛作業には使用しないでください。
台付索には加工方法の規定がなく、玉掛作業に使用すると抜ける恐れがあります。
E玉掛索は、1本つりでは使用しないでください。
つり荷が回転したり、加工部(特に巻差しの場合)が抜けたりして危険です。

F玉掛作業は、労働安全衛生法に定められた有資格者が行って下さい。
つり荷の重心判断や、つり方を誤ると、大事故になる恐れがあります。

 Gアルミ合金で圧縮した玉掛索は、海水中では使用しないで下さい。
アルミ合金が溶解してロープが抜ける恐れがあります。
 
 Hロープのねじれや曲がりが発生したら、修正しキンクさせないようにして下さい。
玉掛索は、消耗品です。廃棄基準を超えたものは絶対使用しないで下さい。
 Iアイ部及び圧縮止め部のき裂、変形、ロープのずれ、又は著しいきずが発生しているものは、絶対使用しないで下さい。
破断事故の原因となり大変危険です。
JIS B 8817ワイヤロープスリングの点検、廃棄基準は下表のとおりです。
 点検項目  点検の種類  点検方法  廃棄基準
日常 定期 
ロープ        (1)断線※1  ○  ○  目視 素線が、ロープ1よりの間において最外層ストランド中の総索線数の10%以上断線しているもの、又はロープ5より間において20%以上断線しているもの。
 (2)摩擦  ○  ○  目視 磨耗によって、直径の減少が公称径の7%を超えるもの。
 (3)腐食  ○  ○  目視 腐食によって、素線表面にピッチングが発生して、あばた状になったもの。
内部腐食によって、素線が緩んだもの。
 (4)形くずれ  ○  ○  目視 形くずれによって、キンク及び著しい偏平化、曲がり、かご状などの欠陥が生じたもの。
 (5)電弧又は熱影響  ○  ○  目視 テンパーカラー又は溶損の認められるもの
 (6)塗油の状態※2  ○  ○  目視  
 (7)アイ部、圧縮止め部  ○  ○  目視 き裂、変形、ロープのずれ、又は著しいきずなどが発生しているもの。
付属金具      (1)変形  ○  ○  目視 曲がり、ねじれ、ゆがみなどが認められるもの。
 (2)きず  ○  ○  目視 著しい当たりきず、切り欠ききずなどが認められるもの。
 (3)き裂  ○  ○ 目視
又は
浸透深傷※3
又は
磁紛深傷※4
き裂が認められるもの。

き裂が認められるもの。

き裂が認められるもの。
 (4)磨耗  ―  ○  計測 磨耗量が元の寸法の10%を超えるもの。
 (5)腐食  ○  ○  目視 全体に腐食が認められるもの、又は局部的に著しい腐食のあるもの。
※1 断線は、手で折り曲げて切除しておくのがよい。
※2 不足しているものは塗油する。
※3 JIS Z 2343(浸透深傷試験方法及び欠陥指示模様の等級分類)による。
※4 JIS G 0565(鉄鋼材料の磁紛深傷試験方法及び欠陥磁紛模様の等級分類)による。
J玉掛索の使用に際しては、製品ラベル等によりロープ構成、ロープ径、破断荷重又は種別を確認して下さい。
間違った玉掛索を使用すると、強度不足等により事故発生の恐れがあります。
 
K圧縮止め玉掛索の場合、アイ部の開き角度は60°を超えないようにして下さい。
無理に大きなフックやピンを入れると、合金管が割れます。
 
L圧縮止め玉掛索の場合、締結部をつり荷のエッヂ等に当てないようにして下さい。
締結効率が低下し、抜ける恐れがあります。
 
M酸やアルカリの腐食雰囲気や100℃を超える高温雰囲気では、使用しないで下さい。
腐食、熱影響等により、強度が低下し危険です。
 
 N玉掛索を鋭い角で曲げないようにして下さい。必要な場合は当て物をして下さい。  
O急激な衝撃荷重がかからないようにして下さい。
玉掛索は、消耗品です。必ず保守及び日常点検、定期点検を実施し、損傷の程度を常に把握して使用して下さい。
 
点検
項目 
点検の種類 点検
方法
日常 定期 
(1)断線  ○  ○  目視
 (2)磨耗  ○  ○  目視
 (3)腐食  ○  ○  目視
 (4)形くずれ  ○  ○  目視
 (5)電磁又は熱影響  ○  ○  目視
 (6)塗油の状態  ○  ○  目視
 (7)アイ部、圧縮止め部  ○  ○  目視
 
 P玉掛索のアイスプライス部は、素線のひげが出ています。直接手で触れないで下さい。
怪我をし危険です。
 
 Q玉掛索のアイ圧縮部は、ロープの端部が出ています。直接手で触れないで下さい。
怪我をし危険です。
 
Rロープには、ロープグリースを塗布しています。
つり荷や衣類等の汚れに注意して下さい。
S玉掛索は、電気溶接作業時等でスパークさせないで下さい。
強度が低下し危険です。

10.ロープの点検   目 次  次の項目  トップページへ

ロープは定期的に点検し、損傷や劣化の状態を常に把握しておき、取替時期を失しないようにしなければなりません。
ロープの主な点検項目は、次のとおりです。

@磨耗の程度
 全長を通じて最も擦られる部分、また目で見て最も細くなっている部分の直径を数箇所測定する。

A断線の有無
 断線の本数とその分布状態、すなわち、断線箇所相互間の距離、同一ストランドか否か、同一素線か否かを調べる。

B腐食の程度
 赤さび程度か、腐食にまで進んでいないか、内部腐食の懸念はないか調べる。

Cグリースの状態
 グリースが残っているか否かを調べる。

D形くずれ、その他異状の有無
 キンクの形跡、つぶれ、きず、くぼみ、浮き、よりもどりなどについて、その程度と位置を調べる。

E継ぎ箇所の異状の有無
 継ぎ箇所の差込み末端素線が飛び出していないか、抜けかかっていないか、またクリップがずれていないかなど調べる。

Fロープの端末部の異状の有無
 ロープと取付金具との境目で、ロープのずれ(すべり出し)はないか、断線や腐食がないかを調べる。
 検査の結果、正しい状態に修正できるものは手直しすることはもちろんです。ロープの寿命は仕事量によって決まりますので、使用期間も重要ですが、それとともに運搬回数・運搬量などを記録しておきますと、寿命判定の参考になります。

11.取替時期の目安   目 次  次の項目  トップページへ

ロープの取替時期が遅れますと、事故発生の危険が増大してきますので、その判定には慎重を期さなければなりません。
判定の目安となる断線数や磨耗による直径の減少率などびついて、以下に示しますので、参考として下さい。

@断線
 定められた長さに発生した断線数によって残存強度を推定し、取替時期を判断するのが最も簡単な方法です。
 しかし、残存強度は断線の分布状態によっても異なりますので、判定の確実性を増すためには、国際規格ISO4309に示されている次の事項を考慮する必要があります。
(a)外層ストランドを構成している素線を対象とする。すなわち、内層ストランド中の素線は、基準とする総素線数には含めない。
(b)鋼心を有するロープでは、対象とする素線に鋼心中の素線は含めない。また多層ストランドロープ(ナフレックスロープ、ヘルクレスロープなど)では、外層ストランドの素線のみを対象とする。
(c)断線が局部的に集中して発生している場合や、1ストランドに集中して発生している場合は、断線本数が許容本数より少なくても廃棄する。

A磨耗
 ロープは、磨耗によって外層素線が擦り減って、ロープ径は次第に細くなってきます。この磨耗量によってロープの取替時期を判定するためには、使用状態、最初の安全率、内部素線の保持力などを考慮して、決定しなければならないことは断線の場合と同様ですが、ただ磨耗量は断線の場合よりも測定が困難です。
 一般的には、ストランドの外層素線が最初の素線径の2/3まで磨耗したら廃棄すること、また断線と磨耗が同時にあるときは、断面積の損失が15%を超えたら廃棄することといわれています。
 実際問題としては、ロープ径の減少から判断するのが一番早く、直径が使用初めのときの1割減少したら取替えられているようです。
 ロープは、使用中に磨耗と断線とが同時に起こるのが普通ですから、要は残存強度がどれだけになったか、安全率がどれほど低下したかによって取替時期を定める必要があります。

B腐食及び使用期間
 腐食したものは脆くなりますので、ロープの強度は意外に低下します。相当長期使用したにもかかわらず、あまり断線もなく磨耗も少ない場合がありますが、このようなときは特に内部腐食について考慮する必要があります。ロープが局部的にやせたり、ストランドのよりが緩んだときは、多くは内部が腐食しています。
 この内部腐食は、シーブやドラムで絶えず繰返し曲げを受ける箇所に最も多く起こり、端末には現われませんので、両端から採った試験片で残存強度試験をしても意味がありません。したがって、これらは使用年数に制限を設けて、安全を図るよりほかありません。特に人の乗るものに使用するロープでは、その使用条件に応じて、1年から5年くらい使ったら廃棄を検討する必要があります。

C形くずれとキンク
 単なるロープの曲りぐせをキンクとすることがありますが、キンクとは上記4項のような過程を経て、局部的に極端な曲りとより乱れが発生したものをいいます。
 ロープのうねりについては、国際規格ISO4309でうねりの許容限度についても述べてあり、下図に示すように、うねり幅d1がロープ径dの4/3以上になれば、ロープを廃棄するように定めています。ロープのうねり


12.廃棄基準・使用限度の規格や基準等     目 次   トップページへ

 ロープの廃棄基準や使用限度については、法規や日本工業規格などに次のように規定されています。

@クレーン等安全規則及び新クレーン構造規格、新移動式クレーン構造規格
 ロープ1よりの間において総素線数(フィラ線を除く。)の10%以上の素線が破断したもの、直径の減少公称径の7%を超えるもの、キンクしたもの、著しい形くずれ・腐食のあるものの使用を禁止しています。

A日本クレーン協会規格 JCAS 0501-1986
 最外層ストランド中の素線の総数に対して、断線数がロープ1よりの間において10%(集中断線の場合は5%)又はロープ5よりの間において20%以上になったもの、また、直径の減少が公称径の7%を超えるもの、腐食によって素線表面にピッチングが発生したもの、素線がゆるんだもの、形くずれしたものなどの使用を禁止しております。
(注)玉掛索は静索・動索の二面をもった使われ方をするため、取替基準としては一層シビアな基準を設ける必要があります。すなわちフック又は吊荷に接する部分で摩耗又は疲労断線が1本でも発生しますと、近くの素線も同様な劣化を受けていますので、十分な注意が必要です。

B各鉱山保安規則
 ロープは腐食・ひずみ・摩耗・断線などによって、安全率がその80%以下に減少したときは使用しないことと定められており、また、人を運搬する巻上装置に使用するロープの更新基準及びその解説では、JIS7本線6よりの場合の更新基準が次のように示されています。
(a)断線、たて割れ及び変形がなく、かつ、腐食が少ない場合であってロープの直径が等価荷重直径の90%以下の部分を生じたとき。

(注) 等価荷重直径=新品実際直径×√公称破断荷重/実際破断荷重

(b)著しい変形(偏心摩耗を含む)又は著しい腐食があるとき。
(c)摩耗及び腐食が少なく、かつ、変形(偏心摩耗を含む)がない場合であって、断線又はたて割れを生じた素線数が次の何れかに該当したとき、若しくは断線又はたて割れが近接して発生し、されが急速に増加する傾向が認められるとき。
1.ロープ1ピッチの長さの間で3本以上(目視検査)又は4本以上(電磁探傷検査)
2.ロープ3ピッチの長さの間で4本以上(目視検査)又は5本以上(電磁探傷検査)
3.テストピースの破断試験の結果、伸び率が2%以下になったとき。

C単線自動循環式普通索道の索条交換基準(平成5.7.16鉄技第65号)
 支えい索に日本鋼索交通協会規格に準拠するウォーリントンシール形ロープ(異形線タイプも含む。)を使用する場合の交換基準として、ロープは、次の各項の一つに該当した場合には交換しなければならないと定めています。
(a)ロープ径が、新品時の直径の3%減又は公称径の2%減より小さくなったとき。
(b)ロープの素線断線が短時日の間に増加する傾向にあるとき。
(c)ロープの使用を開始してから5年を経過したとき、又はロープの運転回数が5万回を超えたとき。ただし、前に使用したロープの状態を試験することにより、2本目以降のロープの使用期間又は運転回数をそれぞれ6年又は10万回まで段階的に増加させるものとする。

D鋼索鉄道における鋼索交換基準(昭和62.5.20地施第99号)
 ロープは、次の各項の一つに該当した場合には交換しなければならないと規定されています。
(a)ロープの摩耗、内部腐食又は断線によって減少した面積(ロープ径減少率11%を断面減少20%とする。)とし、断線による断面減少は、そのロープのよりピッチの6倍の長さにおける破断素線の断面積とする。
(b)ロープの断線が始まって、その後素線の断線数が短時日の間に増加する傾向があるとき。
(c)素線の表面摩耗によって、外層素線の50%以上のものの直径が、使用開始時の直径の2/3以下になったとき。
(d)その他破損、変形、さび又は腐食によって、使用困難と認められたとき。

E昇降機の検査基準(エレベータ)JIS A 4302
 ロープの使用限度が、次のように規定されています。
(a)断線が平均に分布している場合は、1ストランドの1ピッチ内に4本以下、ただし、この場合、素線の断面積が70%以下になっているか腐食が甚だしいときは、1ストランドの1ピッチ内に集中している場合は、1ピッチ内に2本以下であること。
(b)断線が1箇所又は特定のストランドに集中している場合は、1ピッチ内で6ストランドロープでは、12本以下、8ストランドロープでは16本以上であること。
(c)摩耗部のロープ径が摩耗していない部分の90%以上であること。




バナースペース